
旺文社は、全国の小学生・中学生・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、その個性の育成を目的に、毎年 「全国学芸サイエンスコンクール」 を実施しております。
各界各方面からご賛同とご支援をいただき、今年度で第69回を迎えました。
数ある受賞作のなかから、2024年より新設され、今回も特別企画として募集された注目の 「スタートアップ部門」 より、[高校生の部] 金賞に輝いた作品と受賞・選評コメント、プレゼンテーション動画をご紹介します。
「探究」 学習の取り組みなどへ、ぜひご参考になりますと幸いです。
スタートアップ部門 金賞 【高校生の部】
低コストで実現するサステナブルアクアカルチャー
: 微細藻類を用いた循環型アルテミア培養
東京都 玉川学園高等部 1年 鬼頭 佑成
受賞にあたって
この度は、栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。
近年、地球温暖化や水産資源の減少に伴い、養殖魚が食卓の主要な供給源になりつつあり、陸上養殖市場の拡大が予測されています。そこで私は、養殖餌料である動物プランクトン「アルテミア」の大量培養手法の開発、およびそのビジネスモデル化の提案を行いました。
本研究では「基礎研究」と「事業化モデルの作成」の2点に注力しました。具体的には、連日の観察や市販飼料との比較、統計処理といった地道な研究を積み重ねました。また、既存の循環ろ過システムを応用した培養モデルも考案しました。その結果、コストを従来の約2分の1に抑えることが可能となりました。
研究過程では、基礎研究の不足について厳しいご指摘を受けるなど、困難に直面することもありました。しかし、今回の金賞受賞を自信と糧に変え、将来の目標である「養殖餌料ベンチャー」の立ち上げに向け、より一層精進してまいります。
最後に、素晴らしい機会をご提供いただいた大会関係者の皆様、そして撮影や活動に協力してくれた部活の仲間に、心より感謝申し上げます。
▼調査段階における観測データとして提出された記録画像

▼新手法として提案する「循環型培養」を図解

▼運用コストを算出した上で事業性を示す

総 評
今年度の高校生部門には242点の応募が寄せられ、昨年度の201件から41件増加しました。高校生のみなさんの起業への関心が、さらに高まっていることを強く実感しました。
応募作品には、自身の困りごとを解決したい、社会課題に真正面から向き合いたいという熱い思いが込められており、審査会では活発な議論が続きました。多くの作品で鋭い着眼点や深い問題意識が光り、独自の視点で課題を捉えようとする姿勢が評価されました。とりわけ上位に選ばれた提案では、課題解決への強い思いに加えて、高度な研究力に基づくシーズの創出や旺盛なチャレンジ精神が見られました。
また、文献調査・試作品の制作・アンケート調査などを通じて「本当に必要とする人がいるのか」を検証する姿勢が際立っていました。プレゼンテーション力も非常に高い水準でした。
全体として、高校生の柔軟な発想力と実践力に、審査委員一同大きな可能性を感じています。今後のさらなる成長と活躍を期待しています。
選 評
食糧の安定供給という大きな社会的課題に取り組む強い意欲、独創的な着眼点と的確な課題設定、さらに聴衆を引き込むプレゼンテーション力が際立つ素晴らしい提案でした。大学レベルの研究を思わせるほどの精緻な科学的アプローチであり、科学的な探究心と分析力の高さが存分に表れています。
一方で、ビジネスプランとして評価した場合は、夢のある構想の先に「どのように市場に展開するのか」「どのようなモデルで収益化するのか」といった点がまだ描かれておらず、今後の伸びしろとして期待されます。しかし、収益性の潜在力は十分高いと考えられ、将来的に事業化を見据えて発展させる価値のあるテーマです。
高校生ならではの柔軟な発想と、科学的探究の深さが高く評価でき、総合的に見て金賞にふさわしい取り組みであると判断しました。
早稲田大学 研究戦略センター 教授
文部科学省 アントレプレナーシップ推進大使
島岡 未来子 先生
プレゼンテーション動画
本応募作品について実際に制作された、プレゼンテーション動画をご紹介します。
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