志望校選びと入試理解を深める『螢雪時代臨時増刊』を活用した進路探究ワーク授業事例

『螢雪時代臨時増刊』に掲載されている豊富な大学情報や入試データ。このデータを活用した進路探究ワークを東京都立晴海総合高校で実施しました。大学選びから総合型選抜・学校推薦型選抜理解、さらには一般選抜に向けた共通テストの目標点設定まで多様なワークを行った実践事例をお届けします。

東京都立晴海総合高校の概要

晴海総合高校は総合学科の学校で、普通教科に加えて、幅広い選択科目を自由に選択して学ぶことができることが特徴です。2年生からは情報システム、国際ビジネス、語学コミュニケーション、芸術・文化、自然科学、社会・経済の6つの系列に分かれ、専門的な学習科目を選択して学んでいきます。また、STEAM教育や探究学習にも力を入れており、晴海総合高校で進めている企業連携型の探究学習に2024年度から旺文社も協力しています。

卒業後の進路としては、生徒の4分の3が大学に進学。私立大に進学する生徒が多いなかで、国公立大やGMARCHなどの難関私立大に進学する生徒もいます。利用する受験方式も様々で、高校時代の経験や取得した資格を活かして総合型選抜・学校推薦型選抜に挑戦する生徒もいる一方で、一般選抜で難関大受験を目指す生徒も全体の2割ほどいます

相談部主任(進路主任)の西方正憲先生は、「生徒の受験方法が様々ななかで、一般選抜に対する指導がなかなかできていなかった。総合型選抜・学校推薦型選抜に対してのノウハウや指導体制はあるものの、生徒が併願できる総合型・学校推薦型選抜を受けるケースが増え、教員の負担も増えていた」と話します。また、安易に指定校推薦に流れてしまう生徒もおり、もっと上位の大学に挑戦してほしいという思いも持っていました。

そこで、生徒に様々な学校の選択肢や受験機会を知ってもらおうと、旺文社の『螢雪時代臨時増刊』を使ったワークを実施。今回は2年生の希望者15名ほどが教室に集まり、ワークに取り組みました。利用したのは以下3冊の『螢雪時代臨時増刊』。豊富なデータをもとに大学の特徴や入試について調べていきました。

●螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号

●螢雪時代9月臨時増刊 全国大学受験年鑑 推薦&総合型選抜ガイド

●螢雪時代11月臨時増刊 全国大学受験年鑑 一般選抜ガイド

豊富な情報から大学の特徴をとらえる

生徒たちが最初のワークで手に取ったのは『螢雪時代8月臨時増刊』。この冊子には国内全ての大学の情報が掲載されており、大学選びに生かすことができます。

まずは、巻頭記事に掲載されている「大学選びのコツ」で、大学を選ぶ判断基準を整理します。その後は、大学紹介ページを用いて自分が気になっている大学の情報収集を行います。

大学紹介ページに書かれた「キャンパス情報」や「学びの特徴」、そして「学部・学科説明」等の情報をワークシートに、1つひとつまとめていきます。その次のステップでは、収集した情報をまとめて捉え、自分にとっての志望校の魅力を、自分の言葉で言語化していきました。

当初「志望校が決まっていない」、「しっくりくる大学がない」と話していた生徒も、冊子をめくりながら大学情報に触れていくことで、徐々に気になる大学の情報をワークシートにまとめていくことができました。

総合型選抜・学校推薦型選抜受験に向け必要なことを理解

次に生徒が利用したのは『螢雪時代9月臨時増刊』。国内全ての大学の総合型選抜・学校推薦型選抜の要項情報が掲載されており、年内入試の理解に生かすことができます。

ここでも巻頭記事を利用して総合型選抜・学校推薦型選抜の基礎理解を深めました。その後、冊子の各大学ページに掲載されている総合型選抜・学校推薦型選抜の概要をまとめるワークに取り組みます。

総合型選抜・学校推薦型選抜には多様な出願資格・入試方式がありますが、『螢雪時代9月臨時増刊』には全ての大学の要項情報が掲載されています。例えば、専願・併願や現役・浪人、出願に必要な全体の学習成績の状況(評定平均値)といった出願資格や、小論文や面接などの選抜方法などがコンパクトにまとめられています。

生徒たちは各大学ページを読みながら、気になる大学の出願資格や入試方式をワークシートにまとめていきました

生徒からは、「英語の検定試験を取ったほうがいいと思っていたが、受験に必要な出願資格だとは知らなかった。英語に力を入れたいと感じた」という声もあり、2年生のうちに出願資格や入試科目をまとめることで、今後すべきことを明確になっているようでした。

共通テストの目標点を検討し、一般選抜も意識

年内入試情報をまとめた生徒が次に利用したのが、一般選抜に関する全大学のデータを網羅した『螢雪時代11月臨時増刊』。一般選抜のカギを握る共通テストへの理解を深めるため、「大学入学共通テスト目標点検討ワークシート」に取り組みました。

このワークシートでは、志望校合格に必要な共通テストの得点率や、選択科目、配点などを調べることで、自分の得意・不得意に応じた目標点を決めることができます。2年生の段階で目標が設定することで、自分がこれからどの科目に力を入れるべきかが分かるようになります。各大学の「共テ得点率」や「選択科目」、「配点」などのデータは『螢雪時代11月臨時増刊』にすべて搭載されています。

ワークを通して生徒は、「国公立の場合は科目数が多い」、「気になる大学の選択科目と配点の理解」、「私立大は共テ利用選抜を含め自分の得意な受験科目だけで受験できる」など、知らなかった重要な入試情報を得ることができている様子でした。

「調べることの重要性を知った」生徒からの声

3冊の『螢雪時代臨時増刊』を用い、大学選び、総合型選抜・学校推薦型選抜理解、一般選抜・共通テスト理解と約2時間にわたるワークを終えた生徒からは、次のような声が上がりました。

「志望校が決まってなかったのですが、今回のワークを通して調べることの重要性を知りました。」

「推薦から一般まで調べてまとめるワークを通し、これから気になる大学ができたときも自分で調べることができるようになったと感じました」

「大学は自分が思っているよりも膨大な数があると分かり、視野が広くなりました」

スマホでなんとなく情報を眺めるだけではなく、冊子を使い、自分で考え、手を動かして書くことで、生徒は大学調べの視野を広げ、新しい発見を得ているようでした。

ワークの様子を見守っていた西方先生は「インターネット上のまとめ情報を見て判断してしまっている生徒もいる。まとめられたものを見るだけではなく、細かいところまできちんと調べないといけないよ、ということが伝わった。情報を網羅的に知るうえで、冊子で調べることは有効だった」と話していました。

ワークショップで活用した冊子とワークシートの紹介

今回の授業で活用した『螢雪時代臨時増刊』とワークシートはこちらです。螢雪時代臨時増刊は冊子だけではなく、電子書籍も展開しています。

■螢雪時代臨時増刊

螢雪時代8月臨時増刊 全国大学内容案内号

螢雪時代9月臨時増刊 全国大学受験年鑑 推薦&総合型選抜ガイド

螢雪時代11月臨時増刊 全国大学受験年鑑 一般選抜ガイド

■ワークシート

▸大学探究ワークシート(26年1月頃公開予定)

▸推薦&総合型受験検討ワークシート(26年1月頃公開予定)

共通テスト目標点検討ワークシート