総合型選抜や学校推薦型選抜の出願に必須の「志望理由書」。栃木県にある宇都宮短期大学附属高校では、早期から総合型選抜・学校推薦型選抜を見据えた準備を行おうと、高校1,2年生を対象に『螢雪時代臨時増刊』や『大学受験パスナビ』を活用した進路探究“志望理由書ワーク”を実施しました。その実践事例をお届けします。
宇都宮短期大学附属高校の概要
宇都宮短期大学附属高校は普通科(5コース)、生活クリエイト科、情報デザイン科、調理科、音楽科の5学科からなり、1学年約800名が在籍する私立高校です。多くの生徒が大学進学を目指しており、東京大学・京都大学等の難関国立大学、MARCH等首都圏の有名私立大学をはじめ、多様な大学に進学しています。
また、近年広がっている「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」を利用して大学受験を考えている生徒が増えており、国公立大学を受験するときに総合型選抜・学校推薦型選抜を利用する生徒も出てきています。
高校側でも生徒が自身の興味関心を広げ将来を考えるきっかけをつかめるよう、「アントレプレナーシップ教育」や「SDGs」に関するセミナー、キャリア教育に関する多様な講座を企画してきました。

年内入試の利用増に対応するため、旺文社の教材を活用したワークを実施
一方で、総合型選抜・学校推薦型選抜は大学ごとに実施内容が異なるため、先生方が個別に生徒の指導に当たる必要があり、負担感は増えていました。他大学と併願可能な総合型選抜も出始めており、1人の生徒が複数校の総合型選抜に出願するケースも出てきており、そういったケースではより一層負担が増していました。
その結果、指導に当たる担任や教科担任の先生、進路指導部の負担が増え、「1人ひとりの指導にかけられる時間は徐々に減っている」という課題がありました。
そこで、「総合型選抜・学校推薦型選抜」の受験を検討している生徒たちに早期に受験の情報を提供し、生徒の目線を合わせるために、『螢雪時代7月臨時増刊 推薦&総合型合格対策ガイド』のコンテンツを活用したガイダンスを行うことにしました。

ワーク前半は、自己分析から始まる志望理由書ワーク
旺文社のコンテンツを活用した進路探究“志望理由書ワーク”が企画されたのは2025年3月4日。この日は約20の探究プログラムが校内で企画されており、生徒はデータサイエンス、金融教育、語学教室などの多様な講座の中から興味がある講座を選択。志望理由を言語化する志望理由書ワークには1、2年生の希望者約70名が参加しました。
志望理由を言語化するワークの前に、まず授業冒頭で、『螢雪時代7月臨時増刊 推薦&総合型合格対策ガイド』の記事を活用して、総合型選抜・学校推薦型選抜の基礎知識を学習。ここで、おおまかなスケジュールや選考方法等をインプットします。
そのうえで、志望理由を言語化するため「将来就きたい職業」や「高校時代の経験」、「志望大学で勉強したいこと」など6つの自己分析ワークを、ワークシートに沿って1つひとつ自己内省をして、書いていきます。
そうして、6つの自己分析をつなげ、まとめていくことで、なぜその大学・学部・学科を志望しているのかを整理していきます。漠然としていた志望理由が、よりクリアになり、言語化していくことができるようになっていきます。

また、同校では、生徒は1人1台Chromebookを持っているので、「大学受験パスナビ」にアクセスし、志望大学や総合型選抜・学校推薦型選抜に関する情報を参照・確認しながら、ワークを進めました。
この前半の志望理由書ワークに取り組んだ生徒からは、以下のような感想が挙がりました。
「受験に関係なさそうに見えることでも、多様なことに挑戦し精力的に取り組むことで、目標の発見や志望理由の作成に役立つとわかった」
「夏から総合型選抜が始まったりするので早く準備した方がよいということや、志望理由がとても大切ということを理解できた」
「総合型選抜は受験できる回数を増やす手段であり、十分な学力や強い志望理由が必要であることがわかった」

志望理由を整理したあとは、今後の高校生活プランニングワーク
ワークの後半では、前半で志望理由の整理ができたので、それを踏まえて、今後の高校生活でどんなことに力を入れていきたいかプランニングする“高校生活プランニングワーク”です。
生徒はまず、「パスナビ」の合格体験記のページにアクセス。大学に合格した先輩の体験記から高校生活の過ごし方についてイメージを膨らませます。ここには先輩の「学習スケジュール」や「志望校選びのポイント」、「何に力を入れたのか」等、高校生活の過ごし方の参考になる情報を知ることができます。
パスナビの合格体験記では、総合型選抜・学校推薦型選抜で合格した先輩の体験談や高校1、2年生に向けたアドバイスなども具体的に書かれており、合格体験記を読んだ生徒からは、以下の声が寄せられました。
「どの時期にどれくらい勉強したのかということが書かれていたので自分のこれからの勉強計画の参考になった」
「実際に同じ大学学部学科を志望していた人の体験談は自分と比較出来てとても参考になった」
「勉強、気持ちなど様々な面でのアドバイスが書かれており、参考になった」

そのあとは、今後の高校生活でどんなことに力を入れていきたいか、自分の言葉でワークシートに具体的にまとめて行く時間です。まずは、今後の高校生活でどんなことに力を入れたいか、「普段の学習」や「探究活動」、「部活動」、「大学研究」など複数の活動例のなかからチェックをつけます。活動例を選んだあとは、「いつ、どんなことを具体的に行うか」についてまとめていきました。

ちょうど年度終わりに開催された今回の講座。参加した1年生、2年生はそれぞれ2年生、3年生に進級してからどんなことに取り組みたいかを考えながらプランニングに取り組みました。
実施後、生徒から取得したアンケートを見ると、今後力を入れていきたい点について、探究活動や部活動はもちろん、それよりも普段の学習や試験対策といった学習活動や資格・検定の取得を挙げる生徒が数多くいました。
総合型選抜・学校推薦型選抜では評定平均値が活用されたり、また大学入学共通テストを活用する大学もあるなど学力面も総合的に評価されています。ワークを通して、総合型選抜・学校推薦型選抜の現状を十分に理解した上で、今後自分がすべきことを考えていたことがわかります。

「今自分がすべきことを考えられた」生徒からの声
生徒は50分×2コマのワークを通して、総合型選抜・学校推薦型選抜に関する知識の理解、志望理由書作りや進路を見据えた今後の高校生活のプランニングを行い、総合型選抜・学校推薦型選抜に必要なことを準備しました。
ワークを終えた生徒からは次のような感想がありました。
「今自分がすべきことを考え、全力で取り組むことで、将来役に立つよう頑張っていきたいと思った」
「自分の勉強に対する姿勢を改める必要がある事や大学を志望するにあたって必要な事について学ぶことができた」
「多様なことに挑戦し精力的に取り組むことで、目標の発見や志望理由の作成に役立つとわかった」
講座を担当した先生からは、「志望理由書ワークについては、設定されている項目の流れが書きやすく、また記入例があるため、生徒にとっては取り組みやすい内容になっていました。進路プランニングシートについても『普段の学習』、『定期試験対策』など、生徒自身がまず行動できる内容を記載している印象がありました。今回は希望者でしたが今後はコース全体でもこのワークを行いたいと考えています」と話していました。

ワークショップで活用したコンテンツをダウンロード
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「志望理由書ワークシート」と組み合わせて活用した『螢雪時代7月臨時増刊』の記事「キホンと対策 学校推薦型・総合型選抜ってどんな入試?」はこちらのページから ▸「キホンと対策 学校推薦型・総合型選抜ってどんな入試?」記事PDF提供サービス
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