シリーズ 知の探究者/No. 005 渡辺憲司先生(後編) 「学ぶ」ことで、ここぞという時に決断できる「勇気」を得る
『螢雪時代』2026年2月号より掲載(2024年5月号の記事より再掲載)
<前編から続く> 『螢雪時代』で好評連載中の超一流の先生方へのインタビュー記事、『シリーズ「知の探究者」』。
「学び」とは何か? を先生方に改めて問いかけ、受験勉強で見失いがちな「学ぶ」という行為を、本質的に考え直す機会を提示しています。今回は日本を代表する遊里史研究者の一人で研究と教育の両面で活躍されている渡辺憲司先生の後編です。

「学ぶ」ことで、ここぞという時に
決断できる「勇気」を得る

大学で何を学ぶか。そもそも「学ぶ」とは何か。大学入学後に転部を経験された渡辺憲司先生に、ご自身の人生を踏まえ、学ぶ目的や学ぶ姿勢について伺いました。
編集協力:(有)サード・アイ 取材:金丸敦子 写真:石原秀樹
前回からの続き
「学ぶ」姿勢はどうあるべきか
――やり続けることが大事なのはわかってはいるのですが、それでも何か失敗すれば落ち込み、自分はダメだと思ってしまいます。
渡辺 私は一浪しています。友達と一緒に受験して、友達は受かったけれど、私は不合格でした。二人で見に行った合格発表の帰り道は今でも忘れることができません。しかし、辛い思い出であると同時に自分を強くするものになったと思っています。人は誰でも失敗もするし、「間違ったかな」と思うことばかりですが、失敗を経験していないと他の人の苦しみを本当には理解できません。
「忖度」という言葉があります。最近は権力者や目上の人におもねるなど、悪い意味で使われることが増えています。しかし、本来は相手の気持ちや考えを推し量るというポジティブな意味を持った言葉です。
よく「その人の身になって考えろ」と言われます。それは相手におもねることではなくて、「自分にもそういう一面があるかもしれない」と考えてみることなのです。

