
知の巨人である内田樹先生が、悩める学校の先生方の質問や相談に答えるこの企画。
内田先生による真摯なご回答が、日本の教育の課題を浮き彫りにしていきます。


端末授業の時代でも
テストは紙と鉛筆の矛盾。
言語表現力が心配です。
日本の入学試験は、紙に鉛筆で時間内に解答する方式が一般的です。ほとんどの試験で、端末の使用は認められていません。中学・高校の定期テスト、予備校などの模擬試験でも同様です。
国公立大学の一般入試では、国語・英語・地理歴史などでは「文章」で解答することが一般的です。生徒にとって、紙に鉛筆で解答する言語表現力が重要であり、私としても、地理歴史の分野の担当ですが、その育成に力を入れているつもりです。
現状では「一人一台端末」のかけ声のもとに、高校教育の現場で端末の使用が推奨されています。端末の使用拡大は、紙に鉛筆で解答する言語表現力の低下につながるのではないかと危惧しています。
先生は、言語表現力の育成という観点で、端末で文章を書くことと、紙に鉛筆で書くことに差異があるとお考えでしょうか。
また、一見すると矛盾にしか見えない、端末の使用を認めない入学試験と教育現場における端末の使用拡大という現状を、日本の教育の将来を考えた際に、先生はどのようにお考えでしょうか。
(ひぐらし 50代 学年主任 地歴・公民担当)


