
旺文社は、東京都立晴海総合高等学校で実施されている企業連携型の探究学習に、2024年から2年連続で協力しています。
このたび、高校3年生を対象とした 「探究II」 授業協力の一環として、当社取締役 相談役の生駒 大壱 (いこま だいいち) が、2025年11月8日同校の特別講演に登壇しました。
講演テーマは、さまざまなフィールドで企画やプロジェクトの経験・実績を積んできた氏による、《生駒の勝手に進路指導》。
高校生たちの反応とともに、講演当日の模様をレポートします。
*2025年度 「探究」 授業連携の取り組みについては、こちらの記事をご覧ください。
講演の背景と “242枚” のスライドで伝えた生きるヒント
東京都立晴海総合高等学校では、3年次に実施する 「探究II」 の授業において、 「実社会の課題解決に協働して取り組み、社会への関心を高め他者理解を深める」 といった目標を掲げており、実際の企業との積極的な授業連携を進めています。
旺文社はこの取り組みに2024年4月から協力しており、「探究」 の課題や成果に対するフィードバックを提供するなど、先生方や生徒たちと交流を続けています。
今回は 「企業が抱える課題や働くことの意義を見つめ、他社理解や自分の将来設計に役立てる」 といった同校のコンセプトに賛同し、長年企業経営にも携わってきた当社取締役 相談役の生駒が、高校3年生に向けた特別講演に登壇しました。
講演テーマを 《生駒の勝手に進路指導》 と題し、主にデジタル系の新規事業・サービスを多数立ち上げ、当社の社長・会長を歴任してきた生駒が、自らの経歴(とユーモア)を交えながら、高校生たちに将来の働き方・生き方を考えるためのヒントを語ります。
▼講演への興味をもってもらうために事前配布されたプリントの一部

90分の講演時間で用意されたスライドは、実に242枚。
働いていく上で大事にしたい 「軸足」 や、自分に 「投資」 することの意義など、内容は多岐にわたりました。
会の後半には、リアルタイムで高校生たちの質問に答える “悩み相談” の時間も設けられ、年代の壁を越えたインタラクティブな交流が生まれました。
転職も糧に…⁉ 生駒流 「ピボット人生」 のすすめとは
260名の生徒で満員となった、講演会場のホール。
自己紹介から始まった講演は徐々にテンポアップし、旺文社の 「今」 にも触れつつ、登壇者の生駒が辿ってきたキャリアが語られます。
▼生徒に直接問いかけながら旺文社を紹介 (当社の刊行書籍を使ってくれている生徒がいた模様)

▼高校時代の通知表も公開!?

▼自身の携わってきた制作物やプロジェクトを紹介 (高校生たちはまだ生まれていない時代)

転職を経て複数の業界を渡り歩きながらも、自分の 「軸足」 を意識してきたことを思い返して述懐。
「軸足」 があれば、柔軟にピボット (転換) をして変化にも対応ができるというメッセージが、高校生に届けられました。
ただし、「その軸はとにかく突き詰めよ」 というまとめには、生駒流のこだわり哲学、また経営者としての信条が反映されているようです。

将来への “進路探究” といった側面も見せながら、講演は後半へ。
No money, no Life? ~ 「じぶん複利」 のすすめ~
打って変わって後半は、「人生にとって大事な○○」 の話から。
高校生たちに問いかけると、「家族」 「友だち」 「経験」 など、身近なワードが挙がりました。
そこから話題はピボットし、高校生たちがいずれ直面する 「お金を稼ぐ」 ことについて、真面目に考えてみようという流れに。
▼生徒との掛け合いから人生に必要な 「お金」 の話へ
高校生にとってはなかなかシビアな内容ですが、日本人の老後を見据えた金融資産の現実や、職種・業種による給与の差など、今後生きていく上で切っても切れない 「お金」 との付き合い方について、リアルな話が続きます。
▼投資できるのはお金だけではない? 「自分複利」 の術とは

投資で現在持っているお金を増やせるように、人生を生きる自分の価値を高めることができるのは、今の自分。
――大事なのは、「いつ何に投資をするのか」。
若いうちには自分自身に投資をしようというのが、後半のカギとなるメッセージでした。
将来をよりよく生きるための投資は、高校生の今からでも決して早過ぎることはありません。
人生にとって今の大事なモノやコトを挙げた高校生たちには、それらの価値を守っていくためにも、“自分のアップデート” が重要であるということが伝わったかもしれません。
ラストは高校生からの “お悩み相談” 問答
最後は高校生たちから自由に質問を募集して、次々とスピード回答。
・ 「大学生活ですべきことは何ですか?」
・ 「好きな漫画はありますか?」
・ 「お金持ちになるにはどうすればいいですか?」
・ 「勉強がマンネリで悩んでいます…」
――など、硬軟綯い交ぜの質問や悩みが集まりました。

「全ての質問に答える!」 という意気込みで臨みましたが、タイムアップで大部分の回答を宿題に残し、講演会は閉幕に。
生駒流の “高校生お悩み相談” は、文面での回答へ持ち越しとなりました。
聴講された先生・生徒の感想
今回の講演を聴講された晴海総合高等学校の先生・生徒のみなさんに、感想をおうかがいしました。
今どきの生徒たちは「大人はもともと自分たちとは人種が違うのだ」と、ちょっと冷めた見方をしている気がします。ですが今回のお話は、今隣にいる同じ高校生の話のように感じられる内容で、心がけや目指し方次第で、自分なりの将来を描くことができるのだと思わせてもらえたように感じました。
ピボットのお話も、空気を読んで自分を対応させていく事が至上命令であるかのように感じている彼らにとって、重要であったと思います。生徒たちが、自分の軸を持ち、明るく、楽しんで人生を築いていってくれることを望んでやみません。
ピボット人生の話と、若いうちからの自己投資の話が個人的に刺さりました。
正直、今の自分が何をしたいのか、将来どうなりたいのかがあやふやになっていて、今の自分の進路にも自信がなくなっていたけど、軸足はいつ見つけてもよいんだと思うことができたし、今までかなりの数のことを生半可で終わらせてきた私にとって、たくさん考えさせられました。
自己紹介の経歴が思っていた倍以上のボリュームで、どの話も楽しかった。
将来の働き方について、色々な経験をしているからこそのアドバイスをたくさん聞けてよかった。
好きなこと、得意なことから複数の軸足を見つけていき、満足した人生を送れるような職業につけるようにしたい。そのためにも安定した軸足を持てるよう、実践や経験をたくさん積んでいきたい。
一番印象に残ったのは「若いうちにちまちま貯金するより、自分自身に投資しよう!」ということです。将来のためにお金を貯めないといけないと思っていましたが、「自分複利」の説明を受けて納得。これからはどんどん自己投資をしていきたいです。
私は救命の職に就きたいです。だから大学でたくさん学んでから活躍したいと考えています。そこで今日聞いた「じぶん投資」を意識して、大切に学んでいきたいです。
救命の知識や実践の他に、自分で語学を学んでみようと思います。これからの人生は“やってみる”を大事に挑戦していきたいです。
私は英語を学ぶことが嫌いです(できないから…)。――でも知識が増えた嬉しさを実感しながら、楽しんでやりたいと思います!
言語を学ぶことは多くの命を救うことに直結すると思うので、講演を受けられてよかったです。
高校生の学びや進路を支える取り組み
旺文社が展開する出版・教育事業は書籍やサービスの提供を含め、あらゆる形で高校生の学びや将来に深く結びついています。
今回の授業協力を通して、高等学校ならびに高校生から直接得られたフィードバックを基に、旺文社は学びを支える書籍や学習サービス、進路・進学を支援する教育情報を一層充実した形でご提供できるよう、教育出版社としての取り組みを推進してまいります。
旺文社の受験情報誌・進学支援サービス
協力校のご紹介(東京都立晴海総合高等学校より)
21世紀の社会において、技術革新等により産業・就業構造が大きく変化することを予測し、将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習、生徒の個性を生かした主体的な学習、学ぶことの楽しさや成就感を体験させる学習を提供することをミッションとした学校が総合学科高校であり、そのフラグシップ的存在と言われる学校の一つが、私ども晴海総合高校です。
1996年に開校してから、間もなく30周年を迎えようとしています。大きな特徴は、単位制であること、そして普通科で学ぶ授業に加え、専門学科に設置されているような科目を自分の意思で選び学べることです。さらに本校においては、「ノーチャイム制」、「ノー放送制」であることも大きな特徴と言われています。
学びの中核にあるのは、キャリアガイダンス(「産業社会と人間」の授業内を中心に)と、探究学習(「探究I」「課題研究」「探究II」の各授業)です。これらの特徴的な学びの充実に欠かせないのは、企業様や上級学校様などを中心とした外部の方々の協力です。本校はこれからもさまざまな方々からのご協力を頂きながら、教育活動の充実に努めて参りたいと考えております。


