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『螢雪時代』 2025年6月号より当時のまま掲載
月刊誌 『螢雪時代』 で好評連載中のこのエッセイは、内田先生が 「いま、高校生に伝えておきたい」 ことをテーマに取り上げ、つねに何かに追われ、悩みを抱えている高校生に送る、温かく、心に響くメッセージとなっています。
老人四人連れ立って温泉旅行に行った時に、中の一人が、同行した若者に向かって日頃の疑問をぶつけました。
「ネットで誹謗中傷されたくらいで自殺する人がいるが、オレには理解できない。
そんなもの読まなければいいじゃないか」。
そう言われた若者はどう応じていいかわからず困っていたので、僕が割って入って、こう説明しました。
「君は長い時間をかけて家族や友人と創り上げてきた確たる足場がある。
だから、自分が『どの程度の人間』なのかがわかっている。
でも、今の若い人は違う。
彼らは『自分がどの程度の人間なのか』について確信が持てないでいる。
だから、エゴサーチすることを止められないのだ」。


