
本年も旺文社では、高等学校におけるICT機器・サービスの導入・利用状況および生成AIの活用実態について、アンケート調査を実施いたしました。
今年で10回目となる本調査では、全国547校の高等学校から回答を集計。直近の実態調査に加えて、10年間の推移データを基にした動向分析を行いました。
この調査結果を受け、旺文社では、各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでまいります。
- 生徒用ICT端末配備は家庭での費用負担割合が増、端末機種の「学校指定」割合はやや減
- 見直されるICTならではの価値。「情報」「探究」「課外活動」など高校現場のあらゆるシーンに活用が広がる
- 生成AIの活用割合が大幅増、過去10年間で一変したICT活用実態と同じ道をたどっていくか
1.アンケート調査実施要領
| 調査テーマ | 全国の高等学校におけるICT・AI活用状況についての調査 |
| 調査目的 | 高等学校現場におけるICT機器・サービスの導入・利用状況、ならびに生成AI の活用状況を調べ、導入拡大・継続運用のための課題や、今後必要とされるサービス内容を把握する |
| 調査対象 | 旺文社独自リストに基づく全国の国公私立高等学校 計5,003校 ※中等教育学校を含む/高等専門学校・高等専修学校を除く |
| 調査方法 | 対象校に対してアンケートDMを送付し、Webページにて回答を受付 |
| 調査規模 | 全国547校からのアンケート回答結果を分析 |
| 調査時期 | 2025年12月上旬~2026年1月中旬 |
2.調査結果のポイント
生徒用ICT端末配備は家庭での費用負担割合が増、端末機種の「学校指定」割合はやや減
高等学校で導入されている生徒用ICT端末の種類は、引き続き「タブレット型」が主流です。端末の機種については「学校指定」の割合が71.5%と多いものの、昨年度よりも4.4ポイント減となりました。
対して、「個人費用負担/機種の指定なし」の回答割合が23.2%と昨年度より4.6ポイント増となり、AI需要やメモリ価格の高騰でICT機器が値上がりする中、「家庭が端末費用を負担する代わりに機種の選択は自由」とするケースが増えています。
一方で、生徒の使用する端末の種類が多様になるほど、学校側での対応・管理が煩雑になるという課題もあり、ICT端末活用上の課題として、「充電切れや故障などへの対応」の回答割合が48.6%に上るなど、経済的合理性からの判断が、必ずしも教室現場の良質なICT環境構築には直結していないことがうかがえます。
見直されるICTならではの価値。「情報」「探究」「課外活動」など高校現場のあらゆるシーンに活用が広がる
「ICT活用の必要性を感じるポイント」についての調査では、「映像授業・動画視聴」「オンライン遠隔授業」「リモートでの課題配信」「生徒や保護者との連絡」などの回答割合が増加し、昨年度調査で見られた“リアル回帰”の傾向から一転して、コロナ禍の期間に見られたような需要の揺り戻しが起きている状況です。
生成AIなどの新しい技術を取り入れる動きの影響も受け、ICTだからこそ実現できることの価値が見直されているようです。
また、「情報・探究などの授業」「クラブなど課外活動」の回答割合も伸びていることから、高等学校でのあらゆる活動にICTが浸透し、活用の幅が広がっていることがわかります。
生成AIの活用割合が大幅増、過去10年間で一変したICT活用実態と同じ道をたどっていくか
昨年度から設問に加えた生成AIの活用についての調査では、「授業や生徒指導にかかわる校務」「学校運営にかかわる校務」「学校行事や部活動」「保護者への対応」の4項目すべてで、「まあまあ活用できている」の回答割合が大幅増、「まったく活用できていない」の割合が大幅減となりました。
「まあまあ活用できている」「あまり活用できていない」を合計した“中間回答層”の割合が全体の8割水準となり、利用実態が過渡期を迎えている状況です。
一方で、検索エンジンや映像通話サービスなどにもAI技術が組み込まれるようになり、「もはや利用を避ける方が難しいが、しっかりとした運用ルールがないまま、教員や生徒のリテラシーを養えるか不安」という意見も挙がりました。
生成AIの利用が、この10年間で急拡大したICT活用と同じような道をたどって浸透していくのか、今後に注目です。
調査結果レポート
3.高等学校での生徒ICT端末配備におけるトレンドと背景
高等学校における生徒用ICT端末の配備状況は、「生徒1人に1台」の割合が合計で95.1%となりました。〈図1〉
費用負担方法や端末機種の指定有無などについての内訳を見ると、「個人費用負担/学校指定端末」が39.9%で最多。次点の「学校費用負担/学校指定端末」(28.9%)は昨年度調査から順位に変動はありませんでしたが、4.5ポイントの減少が見られています。
一方で、「個人費用負担/機種の指定なし」(23.2%)の割合が4.6ポイント増加しており、端末配備における費用負担が「学校」から「個人(家庭)」へ、端末の調達機種が「学校指定」から「個人の自由」へと、一部で構造変化のトレンドが見られました。
ICT機器の市場価格上昇や、操作に慣れた自費購入端末をそのまま学習に利用したいという需要、各ICTサービスのマルチデバイス対応で端末機種の選択肢が広がったことなどが背景と見られます。
端末のタイプとしては、「タブレット型PC」が昨年調査に引き続き高い人気を得ています。〈図2〉
「ノート型PC」も一部の高等学校で根強く利用されており、「情報」授業等でのプログラミング学習に適したインターフェースや、高校卒業後さらに求められるタイピング技術を習得できる側面が支持されているようです。
4.校内ネットワーク環境の高い整備率と通信品質に残る課題
高等学校におけるネットワーク環境についての調査では、「校内のどこでも無線でのネットワークを使用できる」の回答割合が昨年度調査と変わらず半数を超えました。〈図3〉
通常授業で無線ネットワークを利用できる高等学校は合計85.4%を超えており、インフラ整備率として高止まりしています。 なお、「生徒用のネットワーク環境を整備していない」と回答した11校のうち7校は、中等教育学校(6年制)でした。
一方で、ICT活用における課題として、「安定したネットワーク環境の整備」の回答割合は54.7%と、昨年度から1.6ポイント増となり、ネットワーク整備率の高さに反して課題がある状況です。〈図4〉
「インターネットを使用する機会が増えることに伴い、回線が繋がらなくなることも増えてしまった」という回答も見られ、スムーズな通信を保障するネットワーク回線の質が問われています。
5.見直されるICTの有用性と広がる高等学校での活用場面
ICT活用の必要性を感じるポイントについての意識調査では、昨年度減少傾向にあった「映像授業・動画視聴」「オンライン遠隔授業」「リモートでの課題配信」「生徒・保護者への連絡」が、それぞれ4~7ポイント程度増加となりました。〈図5〉
脱コロナで見られていた“リアル回帰”の傾向から、生成AIなど新技術・サービスの利用が進み、ICTだからこそ実現できることの価値が見直されているようです。
そのほか、ICT利用との親和性が高い「情報・探究などの授業」(62.3%)は昨年度から2.1ポイント増、元々需要の高くなかった「クラブなど課外活動」(18.5%)も昨年度から4.6ポイント増など、シーンを問わず学校生活のあらゆる場面にICT活用が根付いてきていることがわかります。
6.1年で激変した高等学校での生成AI活用意識
昨年度から開始した「生成AIの活用」についての調査では、大きな動きがありました。
「授業や生徒指導にかかわる校務」「学校運営にかかわる校務」「学校行事や部活動」「保護者への対応」4つのシーンすべてで、「まあまあ活用できている」の割合が大幅増、「まったく活用できていない」の割合が大幅減となっています。〈図6〉
すべての項目で、「十分活用できている」「まあまあ活用できている」の合計割合が4割を超え、「まあまあ活用できている」「あまり活用できていない」の“中間回答層”の合計割合は7~8割と、生成AIの活用実態が過渡期を迎えている様相です。 特に「授業や生徒指導にかかわる校務」では、「あまり活用できていない」の割合も減となり、AI活用はこの1年で大きく進んだことがうかがえます。
昨年度調査では、AIの生成結果に対して「誤りが多い」「確認作業で時間が取られる」といった、ネガティブな声が多かった傾向から、今回の調査では「誤りがあることを前提に利用している」「AIに任せられる校務の範囲が明確になってきた」など、生成AIと上手く距離を取りつつ利便性を享受する方向にシフトチェンジする高等学校が増えています。
一方で、「生成AIを使用する際のルール作りや注意点の指導ができていない」、「校務の効率化を目的として生成AIを利用するようになったが、プロンプトの作成や活用スキルが高くない先生の補助などでかえって時間がかかってしまう」といった課題も挙がっています。
高等学校におけるICT環境が発展途上にあった時代にも、ICTの活用に対してこうした意見が同様に挙がっていたため、今後生成AIの利用が、高校現場で今や“当たり前”となったICT利用と同様に浸透していくのか、注目されるところです。
7.高校ICT調査10年間で見られた「変化」と「不変」の事象
2017年度から開始した本調査で得られた10年間の推移データを基に、高等学校を取り巻く教育ICT環境で起きた変化をまとめます。
(1)ネットワーク環境の整備状況
GIGAスクール構想の推進やコロナ禍のオンライン需要もあり、2021年を境に有線のみでネットワークを使用できる高校が大きく減少し、加速度的に無線ネットワーク環境の整備が進んだことがわかります。〈図7〉
モバイル端末配備の浸透と合わせ、2023年には通常教室でネットワーク利用できる高校が8割を超えました。
校内全域で無線ネットワークを使用できる高校の割合は10年前には1割以下でしたが、2025年に5割を超え、最新の調査となる今年度はほぼ頭打ちかと思われます。
(2)生徒用ICT端末活用についての意識
10年前の2017年度調査では、「活用できている」意識と「活用できていない」意識の高等学校が、およそ半数に二分されていましたが、徐々に「活用できている」派が増え、2025年度以降は8割を超えています。〈図8〉
「十分活用できている」の強い肯定回答割合はコロナ禍中の2021年度に1割を超え、2025年度以降は2割超の水準を維持しています。 活用への自信は技術の進歩や複雑化と裏表の関係にあり、年によっては多少の揺り戻し傾向も見られますが、活用の手ごたえを得ながら「もっとできるはずだ」と高い目標を掲げて、ICTの効果的な活用を推進してきた高等学校が多かったのは間違いありません。
(3)ICT活用における課題
10年間の調査を通じ、「ICT活用における課題」として変わらずトップの回答割合だったのは、「教員の活用スキル引き上げ」です。「活用できている」ことの意識が向上する一方で、こちらは不変の課題であると言えます。〈図9〉
「十分な端末数の配備」を課題に挙げる割合は、1人1台の端末配備が浸透した2022~2023年度に急落。ただ、2025年度から選択肢に加えた「充電切れや故障などへの対応」は5割弱と高い回答割合で、運用面での課題はいまだに根強いようです。 また、コロナ禍中の2022年度から「生徒の情報モラルの向上」の回答割合も急激に伸び、最新の調査でも66.2%と存在感を示しています。生徒への教育や情報管理については、ICTを通したコミュニケーションの難しさや、利用サービスの増加に伴うアカウント管理の煩雑さも課題に挙げられています。
8.総括:高等学校におけるICT環境の充実、課題とその先へ
高等学校でのICT端末配備率とネットワーク環境整備率はほぼ頭打ちとなり、ICTは特別な道具から、なくてはならないインフラのポジションを獲得しました。ただし、強力かつ安定した通信回線や、端末・アカウントについての細々とした管理、生徒のモラル教育やルール作りなど、まだ課題も残っています。
本調査も節目となる10年を経て、GIGAスクール構想やコロナ禍などによる大きな変化をデータとして可視化しましたが、生成AIの登場などにより、高等学校を取り巻くICT環境は、この先もさらに変わっていくことが予想されます。 旺文社はこれまでの調査で得た知見を基に、今後も高等学校での校務・授業の支援になるようなサービス提供や情報発信を推し進めてまいります。
9.旺文社運営・提供/学校向けサービスのご紹介
英単語マスタープログラム「タンゴスタ!for 英単語ターゲット・英検でる順パス単」
「タンゴスタ」は、英単語学習を支援するために開発されたICT活用サービスです。多くの高等学校に教材として採用いただいている英単語集「英単語ターゲット」・「英検でる順パス単」シリーズのコンテンツが搭載されており、学習の効率化と習慣化による生徒の英単語習得と、確認テストや評価管理の自動化による先生の負担軽減を実現します。
学校現場におけるICT環境の整備が進んでいることを受け、全国の高等学校での導入が広がっており、「生徒に毎日の学習サイクルが定着してテストの成績が向上した」、「音声問題や生徒個別の追試など実施できるテストの幅が広がった」とご好評をいただいております。
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