「最終学歴がアメリカ」であることがエリートの条件? 日本の教育の「グローバル化」が意味するものは何かを問う第9回。
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『螢雪時代』 2024年12月号より当時のまま掲載
月刊誌 『螢雪時代』 で好評連載中のこのエッセイは、内田先生が 「いま、高校生に伝えておきたい」 ことをテーマに取り上げ、つねに何かに追われ、悩みを抱えている高校生に送る、温かく、心に響くメッセージとなっています。
親の経済格差がもたらす子どもの教育格差
みなさんは今回行われた自民党総裁選の候補者9人のうち6人が「最終学歴がアメリカの大学または大学院」であったことにお気づきでしたか。
日本の政治エリートに関して言えば「最終学歴がアメリカ」であることがデフォルトになりつつあります。
僕はこういう傾向は端的に「よくない」と思います。
「どこの国の大学に行こうと本人の自由じゃないか。グローバル化の時代なんだ。海外に出て学ぼうという意欲的な若者のどこが悪いんだよ」と反論する人がいるかも知れません。
政治家だけでなく、ビジネスマンでも学者でも子どもを中学からインターナショナルスクールに通わせたり、海外に留学させることが流行です。
その方が英語圏で高等教育を受ける上でアドバンテージがあるからです。