教育のグローバル化の見過ごせない問題点 ―内田樹先生の 「風雲自在」 第9回 (PDFあり)

更新日: 2025/7/22 公開日: 2025/7/22

「最終学歴がアメリカ」であることがエリートの条件? 日本の教育の「グローバル化」が意味するものは何かを問う第9回。

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  • 内田樹先生の「風雲自在」第9回 教育のグローバル化の見過ごせない問題点 データ利用申請

『螢雪時代』 2024年12月号より当時のまま掲載


親の経済格差がもたらす子どもの教育格差

 みなさんは今回行われた自民党総裁選の候補者9人のうち6人が「最終学歴がアメリカの大学または大学院」であったことにお気づきでしたか。
日本の政治エリートに関して言えば「最終学歴がアメリカ」であることがデフォルトになりつつあります。
僕はこういう傾向は端的に「よくない」と思います。

 「どこの国の大学に行こうと本人の自由じゃないか。グローバル化の時代なんだ。海外に出て学ぼうという意欲的な若者のどこが悪いんだよ」と反論する人がいるかも知れません。

 政治家だけでなく、ビジネスマンでも学者でも子どもを中学からインターナショナルスクールに通わせたり、海外に留学させることが流行です。
その方が英語圏で高等教育を受ける上でアドバンテージがあるからです。