【特別対談】 『タンゴスタ!』 導入校座談会

英語学習の“エンジン”がかかる瞬間 ~学習効果の仮説と成績評価まで~ <前編>

更新日: 2024/11/22 公開日: 2024/11/14

旺文社が提供している英単語マスタープログラム「タンゴスタ!」。ICT端末を利用して生徒が楽しみながら英単語を習得できる専用Webサービスで,導入校が全国に広がっています。『英単語ターゲット』シリーズ,『英検でる順パス単』シリーズに対応しており,スマホやタブレットで場所を問わず手軽に学習し,単語テストを受験することが可能です。
今回は2年以上「タンゴスタ!」のご利用を継続中の先生方に集まっていただき,導入時のエピソードから学習効果を意識した運用方法,英語指導における悩みや課題意識といった本音をうかがいました。

【先生方のご紹介】

青木 克人 先生

【2021年度から導入。24年度は1・2年生でfor英単語ターゲットプラン,3年生でfor ALLプランを採用中】
潤徳女子高等学校 英語科教諭。静岡県立大学国際関係学部卒業。国際政治と言語学を専攻。趣味は読書と筋トレ。公共図書館での貸し出し冊数は,3年間で400を超える。

勝田 明憲 先生

【2023年度から導入。2024年度は1・2年生でforALLプランを採用中】
東京都立狛江高等学校主幹教諭。2年主任。男子硬式テニス部顧問。早稲田大学卒業。趣味は読書とスポーツ全般。夢はバイクでユーラシア大陸横断。

狩野 英佑 先生

【2023年度から導入。2024年度は2年生でfor英単語ターゲットプランを採用中】
群馬県立前橋東高等学校英語科教諭。2年担任。現任校3年目。県立高校常勤講師を経て,現職。近年は英語学習や校務での生成AIの活用法を模索している。趣味は園芸と英語が通じない国へ旅すること。ホームルームのベランダではトマトとトウガラシを毎年育てている。

齊藤 貴志 先生

【2023年度から導入。2024年度は2年生でforALLプランを採用中】
平塚中等教育学校英語科教諭。教師歴15年目。テニス部顧問。趣味はテニス,バスケットボール,サーフィンなど。現在は「成長に年齢は関係なし」という言葉をモットーに,英語だけでなく,テニス部顧問として生徒と一緒にコートでテニスボールを打ち合う日々を送っている。

鈴木 翔馬 先生

【2022年度から導入。2024年度は全学年でforALLプランを採用中】
福島成蹊高等学校英語科教諭。2年主任。現任校13年目。福島県立会津高等学校,福島大学人間発達文化学類文化探究専攻卒業。専門はイギリス・アイルランド文学。大切にしている言葉は,“Enthusiasmiscontagious.”趣味はスポーツ観戦と洗車。好きな車はBMW。

教員が生徒の単語学習を 見守るツールとして「タンゴスタ!」を導入

旺文社

「タンゴスタ!」導入のきっかけを教えてください。

鈴木
福島成蹊高等学校では英検対策や4技能の習得に注力しており,英単語の学習方法を模索しているところでした。教員自身,単語を紙に書いて覚えてきた人もいれば,単語帳をめくるだけで覚えられた人もいます。生徒が英単語を学ぶ手段にも多様な選択肢があってよいだろうと考え,紙の単語帳とタブレットの両方で単語学習を進める方針を立てました。
いろいろな企業からICTサービス関係のご案内がありましたが,旺文社はもともと,「AdvancedTestEditor」や「スタディコネクト」といった紙の単語帳に合わせたテスト作成サービスも提供している会社なので,教材とサービスがセットで使いやすい。これしかない,と「タンゴスタ!」導入を決めました。

▲「単語学習に多様な選択肢を用意したかった」と鈴木先生

また,本校は私立校なので教員の異動が多くありません。教員メンバーがかわらないのなら“福島成蹊メソッド”とでも呼べるような,本校独自の英語教育の礎を築けるのではないかと以前から考えていました。「タンゴスタ!」は“福島成蹊メソッド”の確立を手伝ってくれるかもしれないと期待しています。

齊藤
これまで,小テストは生徒にやらせっぱなしになっていました。「タンゴスタ!」を活用すれば,生徒の学習状況やテストの成績をWeb上で簡単に管理することができます。教員が生徒の成績を把握できていれば生徒個人に合わせた指導ができるようになり,生徒のモチベ―ションも上がるでしょうし,Web上で生徒自身が自分の成績を確認することもできます。
これでようやく,やらせっぱなしから卒業できる。しかも,学習の過程と成果を管理しながら,生徒と二人三脚で学習を進められるツールだと思い,導入を決めました。

勝田
この『Argument』の過去号に掲載されていた記事で,狛江高等学校と同じ都立の日野台高等学校が「タンゴスタ!」を使っていると知り,興味を持ちました。コロナ禍以降,校内のICT利用やDXが急速に進みましたし,私は単語帳なら『ターゲット』を使いたかったんですよね。

以前はほかの単語帳を使っていましたが,3年生になるとみんな自分で『ターゲット』を買うんです。塾に行くと他校の生徒が『ターゲット』を使ってい
るのを見るし,塾の先生からも薦められるらしいんですよ。結局,学校で買わせたほかの単語帳を使わなくなる。それなら最初から『ターゲット』を採用し
たほうが生徒にとってもいいじゃないですか。
「タンゴスタ!」を導入すれば単語帳を『ターゲット』に替える理由にもなるし,ICT活用にもつながって,一石二鳥だなと思いました。

教員にも保護者にもメリットを 感じてもらうことで賛同の声を増やす

旺文社

「タンゴスタ!」導入にあたってハードルはありましたか?

青木
潤徳女子高等学校は創立100年の歴史がある学校で,伝統を重んじる校風があります。単語帳1つでも,なにかを“変える”こと自体に難色を示す先生もいらっしゃいました。英語教育についてはどの先生にもお考えがあるので,指導内容以外の面から説得を試みました。
たとえば,経費の話。本校には600名ほどの生徒がおり,朝,単語テストをすれば1回で600枚の紙が飛んでいきます。「1週間続ければ3,600枚も紙を消費するけれど『タンゴスタ!』を使えば0枚で済みますよ」と。
それから,人員配置のメリットについても話しました。休んだ生徒の追試を土曜日の放課後にやっていたのですが,必ず誰かが追試を担当し,その場にいなければなりません。「タンゴスタ!」を導入すれば,いつでもどこでも生徒が自分のスマホでテストを受けられるので,どの教員を配置するかを調整する必要もなくなると説明しました。

▲「英語教育のあり方では議論せず,実務面から説得することです」と青木先生

狩野
前橋東高等学校ではどの教材を採用するかが各学年に委ねられているので,「タンゴスタ!」を採用すること自体にはそれほど苦労しませんでした。
しかし,いざ導入を決めたあとで学年費の問題にぶつかりました。徴収している費用を見ると,単語帳1冊分しか計上されていなかったんです。それでも,「タンゴスタ!」は絶対に効果が出ると確信していたので,追加で費用を徴収するため,保護者の方に向けて単語学習の重要性と学習方法を最適化させることの必要性をご説明する書面を出してご理解いただきました。保護者からの問い合わせもなく,そこからはスムーズに進みましたね。
今では保護者面談をすると「うちの子,『タンゴスタ!』をヒーヒー言いながらやっていますよ」なんて話も出てくるまでになりました。

単語学習に新しい選択肢 ~ゲームのように取り組める 「タンゴスタ!」の魅力

旺文社

「タンゴスタ!」を導入してよかった,と思われた場面はありますか?

鈴木
いっぱいありますよ。これまでも生徒たちは,単語を覚えるためにアプリを使ってみたり,紙に書いてみたり,読んでみたりと彼らなりに試行錯誤をしてきました。そこに「タンゴスタ!」という選択肢が加わったことで,まるでおもちゃで遊ぶように積極的に活用方法を試すようになりました。
配信されるテストを受けてみたり,自分で単語をチェックするときにはどの出題形式が合うのかを探してみたり。生徒のほうから「こんな使い方はできないでしょうか?」と質問されることもあって,私が慌てて旺文社に問い合わせをするくらいです。

本校では30分間の朝学習がありますが,私は「タンゴスタ!」から始めるように指導しています。これまでは,朝とりあえず学校にやって来たものの,30分間ぼーっとしている生徒もいましたが,今では席についたらまず「タンゴスタ!」を開くようになりました。
とりあえず手をつけられるものができたおかげで,そのあとの勉強も自然と進められるようになったんですね。「タンゴスタ!」が生徒のエンジンをかけるアイテムになってくれています。
それから,「タンゴスタ!」を導入したことで教員同士のコミュニケーションが増えました。「こんなふうに使わせてみるのはどう?」「コースや学年で難易度を変えてみたら?」「この生徒はこの項目が足りていないから対策しましょうか?」と,指導のあり方について議論が活発になりました。教員が共通して使えるツールが 1 つあるだけで,こんなにもコミュニケーションが豊かになるんですね。

▲「教員同士が学習指導について話し合うようになった」と鈴木先生

勝田
紙でテストをしていたときは0点でも知らんぷり,という子が結構いたんですよ。「四択だから,適当にやっても25%は正解するでしょ!」と,ア~エの解答欄をすべて “ ウ ” で埋める子もいた(笑)。ところが,「タンゴスタ!」に切り替えてからはそういったケースが激減しましたね。
紙のテストだと自分で自分を鼓舞しないといけないけれど,「タンゴスタ!」なら機械に任せていれば,自然と先へ先へと誘導してくれるじゃないですか。それに「タンゴスタ!」にはゲーム性があるから,やってみようという気持ちになれる。単語学習のハードルが下がり,生徒も取り組みやすくなったみたいですね。

~2024年8月 旺文社での座談会にて~

 

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